るきさん
わたしにとっての心の栄養補給のような本が、数冊あります。
気持ちが疲れたときに、ひらく本です。
その一冊がこの『るきさん』です。
とりたててのドラマもなく、るきさんのゆるく流れる日々を描いた漫画です。
この漫画は、バブル華やかなりしころの1988年から『Hanako』誌上の片隅で連載されていました。
その当時、『Hanako』など見る事もなく過ごしていたので、こんな漫画が連載されていたとは知りませんでした。
この『るきさん』を知ったのは、ずーっと後のことです。
バブル全盛期の時代背景とは裏腹に繰広げられていく“るきさん”の日常はマイペースで、ちょっとへんてこな毎日を“ゆるーく”暮しています。
そしてバブルが崩壊して、『一杯の掛けそば』などが象徴するような、清貧思想が受け入れられた頃に、趣味の切手を求めて「ちょっと切手市に。永らくお世話になりました」という置手紙を友達のえっちゃんに残し、イタリアに飛んでいってしまったところで、この『るきさん』は完となっています。
なんの取り留めもないお話です。
でも心が“ほっこ・・・”と、温かくなるのです。
毎日の暮らしは、果てしなく単調です。
贅沢なことですが、そんな日々に少し疲れを感じることもあります。
肩肘を張らず、何に執着することもなく、人を羨みもせず、小さな発見を楽しみつつ暮す“るきさん”が素敵で、うらやましくも思います。
そして、「るきさんになりたーい!」とも思います。
心が疲れた日の夜、布団に入って『るきさん』を開きます。
そして、心が“ほっこり”としたところで眠ります。
朝目が覚めると、“るきさん”に成っていればいいなぁーと、願いつつ。
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